きっかけは、完全に「はじめの一歩」だった。あのボクシング漫画を読み返していたら、なぜか妙にクマ肉が食べたくなってしまい、友達と「クマ食べられる店ってどこかにあるはずだ」と本気で探し始めた。普通に考えたら、クマ肉なんて都内でそう簡単に食べられるものじゃない。それでも諦めずに探し続けた結果、辿り着いたのが、高田馬場にある「米とサーカス」だった。
名前からしてもう不穏だった
店名を見た時点で、すでに嫌な予感というか、期待というか、なんとも言い難い感情が湧いていた。「サーカス」を名乗る飲食店なんて、そうそうまともなわけがない。友達と「これ、絶対普通の店じゃないよな」と笑いながら店の前に立ち、少しの緊張とワクワクを抱えたまま暖簾をくぐった。
実際に足を運んでみると、その予感は正しかった。聞けば東海オンエアが以前協力したこともあるらしく、店内の空気からも「ただの居酒屋じゃない」感が漂っていた。壁に貼られたメニューを見るだけで、ゲテモノ系の料理がずらりと並んでいることが分かる。目当てのクマ肉はもちろん、見たことのない食材の名前が次々と目に入ってきて、開店直後からすでにテンションが上がっていた。
お通しでいきなり心を折られる
席に着いて、まず出てきたお通し。見た瞬間、友達と二人で固まった。まさかのスズメだった。
普通の居酒屋なら、お通しは漬物とか、簡単な小鉢が出てくるものだと思っていた。それが初手からスズメというのは、完全に予想の範囲外。骨の感触や見た目のインパクトも含めて、頭の中で「これは本当に食べ物として出されているのか」という混乱が一瞬走った。しかし考えてみれば、この店を選んだのは自分たちだ。今さら驚くのも変な話だと思い、覚悟を決めて箸をつけた。この時点で「今日はもう、普通の飲み会という感覚では臨めないな」と気持ちを切り替えたのを覚えている。
味というより、経験を食べに行く店
肝心の味についてだけど、正直「めちゃくちゃ美味しい」というタイプの店ではなかった。ただ、それは全く欠点として感じなかった。むしろ、味の良し悪しよりも「これ食べたことある人、なかなかいないだろうな」という珍しさそのものを楽しむタイプの店だった。
一皿ごとに「これは何の肉?」「見た目からは想像できない味だ」と友達と驚きながら食べ進める時間そのものが、もうアトラクションだった。遊園地でジェットコースターに乗るのと同じような感覚で、次に何が出てくるかわからないワクワクと若干の不安を同時に味わえる。普段の飲み会だと、料理が来てもある程度予想がつくものだけど、この店ではそれが一切通用しない。運ばれてくるたびに「次は何だ」と身構える、その繰り返しがどこか楽しかった。
クマ肉、無事にありついた
そもそもの目的だったクマ肉についても、ちゃんとありつけた。想像していたよりクセは少なく、しっかりとした食感が印象的だった。ただ、味の感想以上に「クマ肉を実際に食べた」という経験そのものが記憶に残る一皿だった。漫画をきっかけに動いた行動が、そのまま実現したという意味で、個人的にはかなり満足度の高い体験だった。友達と「まさか本当に食べられるとは思わなかったな」と笑いながら話したのも、良い思い出になっている。
こんな夜を求めている人へ
普通の居酒屋に飽きている人、話のネタになるような体験を探している人には、米とサーカスはうってつけの店だと思う。ただし、心構えは必要。お通しの時点で覚悟を試されるので、ある程度の”何が来ても驚かない”マインドで訪れるのがおすすめ。誰かを驚かせたいときのデートや、話のネタが欲しい飲み会など、あえて非日常を求めているシーンにこそ向いている店だと思う。
味を求めて行く店ではなく、体験と話のネタを求めて行く店。高田馬場でそんな夜を過ごしたいなら、一度は足を運んでみる価値がある。
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